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このアルバム最大の聴き所は隠れた名手、
デイブ・バーンズ(Dave Burns)の溌剌としたトランペットです。
このアルバムでデイブ・バーンズに入れ込んだわたくし、キングから発売されたヴァンガードなどの再発LPを購入してみたが・・・・ちょっとね(笑)。
まあ、デイブ・バーンズの最良のソロが聴けるのがこのアルバムであることは間違いなし。
リーダーの
アート・テイラー(Art Taylor)、トランペットの
ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)に書下ろしを2曲も依頼したりしております。
ついでに、
ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)と
マックス・ローチ(Max Roach)がダイヤル・レコードに録音した
「Move」を取り上げるなどしていることから、ジャズ・シーンで忘れられがちのデイブ・バーンズを中心に演奏曲目を決めているように思えます。
もう一人、忘れてはならないのがテナーの
スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)。
彼のソウルフルなテナーは、ジョン・コルトレーン作曲による1曲目
「Syeeda's Song Flute」から炸裂しております(笑)。
「Syeeda's Song Flute」は、
「Giant Steps / John Coltrane (Atlantic LP1311)」に収録された曲。
オリジナル録音にアート・テイラー本人と、ベースのポール・チェンバースが参加していることからリズム・バターンはほぼ同じ。
まあ一度、1年前に録音されたコルトレーンのオリジナルと聴き比べるのも一興かと思われます。
メカニカルなコルトレーンに対し、ソウルフルなサウンドで対抗(?)する
スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)。
そこに所々絡むデイブ・バーンズの温かみのあるソロが良いですねえ。スインギーなウィントン・ケリーもなかなか。
お次のセロニアス・モンクの
「Epistrophy」では、
パタート・ヴァルデス(Carlos "Potato" Valdez)のコンガが加わります。
リズミックな曲にコンガが加わると、自然にテンションが上がってきますねえ(笑)。
ソロリレーの最後に登場する、コンガとドラムのデュオがまた聴きモノっす。
超アップテンポの
「Move」、デイブ・バーンズはミュート・トランペットで登場。
コンガに煽られながら、キュートなソロを聴かせてくれまーす。
続くスタンリー・タレンタインはちょっともつれ気味(笑)、ウィントン・ケリーはきらきらしたソロを展開しアート・テイラーのドラム・ソロに引き継ぎます。
ブルージーな
「Hight Seas」、オリジナル・ライナーには
『ホレス・シルヴァーのグループに似合いそうな曲(意訳)』と書かれております。
この手のタイプではやはり、スタンリー・タレンタインのテナー・ソロが光ってますね。
いきなり軽快なコンガとドラムのデュオで始まる
「Cookoo and Fungi」、デイブ・バーンズとウィントン・ケリーはお休みです。
ベースと打楽器をバックに、スタンリー・タレンタインがソウルフルなソロを演奏しております。
ラストはケニー・ドーハム書き下ろしのマイナー・キーのブルース
「Blue Interlude」。
スタンリー・タレンタイン、デイブ・バーンズ、ウィントン・ケリーと各人の個性を過不足なく聴かせてくれるトラック。
ポール・チェンバースのベースソロのあと、ドラム・ソロを挟んだセカンド・リフが登場するもの嬉しい仕掛けです。
各人の持ち味を生かしながら、リーダーが安定した名人芸を披露する。
やや玄人向きの作品ではありますが、ジャズ・ファンなら買って損はしないと思います。
A.T.'s Delight / Art Taylor Blue Note BLP 4047
01. Syeeda's Song Flute (John Clltrane) 6:32
02. Epistrophy (T.Monk) * 6:49
03. Move (Denzil Best) * 5:46
04. Hight Seas (Kenny Dorham) 6:45
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