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ハンク・モブレーの好きな作品を挙げよ!と言われれば、真っ先に思い浮かぶのはこの作品です。
諸兄が思い浮かべるであろう『Soul Station(BST-84031)』や、『Dippin'(BST-84209)』よりもワタシは好きです、ハイ。
嬉しい事に、12月に発売された『ジャズマンがコッソリ愛する ジャズ隠れ名盤100/小川隆夫(河出書房新社)』でも、この作品が紹介されているんですね。
コメントはジョニー・グリフィン(1986年)、ジャボン・ジャクソン(1997年)、スタンリー・タレンタイン(1999年)の3人です。
まずは、ジョニー・グリフィンのコメントはこんな感じ。
「この演奏はいつものハンクと印象が違う」
「この演奏はふたり(注1)による過激なプレイの最上位に位置するものでじゃないかな?」
注1:リー・モーガン&ハンク・モブレーの、通称「M&Mコンビ」の事を指しています。
次にブルーノートでは後輩にあたるスタンリー・タレンタインは、モブレーの演奏スタイルを色々分析してくれています。
「スタイルはわたしと似ていたかもしれない」、「ハンクのプレイが柔軟だってことだ」
「ハンクはスタイリストだった。低音に魅力のある独特のスタイルでね」
「演奏面ではずいぶん参考にさせてもらった」
・・・あとコメントの中で、ピアノのアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)のことを、「面白い」と言っていた事も嬉しかったりします(笑)。
さあて、このアルバムが「好き」すぎて(笑)曲のコメントに困ったので、長々と小川さんの著作を引用させてもらいましたが、そろそろ行きますか(笑)。
まずリー・モーガン(Lee Morgan)とアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)の参加した曲ですが、「アヴァンギャルド・ファンキー」とでも名付けたい程、刺激的な演奏です。
気心の知れたモーガンを相棒にして、アヴァンギャルド風味満点のヒルのピアノと、フィリーの挑発的なドラムが絡む・・・マイペースのハンクでも、いつも以上に盛り上がらない訳、ナイですよね(笑)。
1曲目「THREE WAY SPLIT」は、ヒルとフィリーによるオドロオドロ(笑)しいイントロから緊張感漂っていいですね。
テーマの後、ソロに入るモブレーも、普段よりも刺激的なフレーズを綴って行きます。2番手に登場するモーガンの破天荒気味なソロも良し。
3番目にフィリー・ジョー・ジョーンズの長いドラム・ソロ、これまた珍しいですねー。あ、この曲ヒルのソロ無かったんだ。
2曲目の耽美的なバラッド「CAROLYN」は、リー・モーガンの作品です。
ソロにおけるモブレーのマイルドな音色もいいですね。続くアンドリュー・ヒルの耽美的な短いソロ、曲調にピッタリ。
最後に登場するモーガンも、短いながらも貫禄たっぷりで吹ききります。
タイトル・トラック「NO ROOM FOR SQUARES」は、何故かニューヨークの通りを風を切って颯爽と歩くモブレーの姿が思い浮かびます。
こういうヒップな演奏スタイルが一番ハマルのは、モーガンですね。ソロ・フレーズが「どうだ、俺、ヒップだろう?」と言ってるみたい(笑)。
何処かで聴いたことのあるような覚え易いメロディーを持つ、ファンキーな「ME 'N YOU」はモーガンの作品。
聴き所は何と言ってもモーガンのソロ。大ヒット作『The Sidewinder(BST-84157)』で炸裂するフレーズが満載です。
残り2曲は、ドナルド・バードとハービー・ハンコックが参加したセッションからですね。
バード&ハービーのコンビが、モード調の曲を演奏するマイルス・バンドの臭いをプンプン(笑)させる「UP A STEP」。
一転してアップテンポ「OLD WORLD, NEW IMPORTS」は、ちょっと時代が戻ってハード・バップ然とした演奏です。
なお今回のCDには、「CAROLYN」と「NO ROOM FOR SQUARES」の別テイクが追加収録されてます。
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