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 このCD(2 in 1)のリリースを見た時、
「M・カスクーナさん、ここまで出しますか(笑)・・・・。」と思ったアルバムです。
 先日『CONNOISSEUR SERIES(米ブルーノート)』から、日本ではほぼ発売されないだろう(笑)アルバムが発売されました・・・。
 『完全ブルーノートブック』での、小川隆夫さんのコメントを読んで気になっていたこのアルバム、確か10年位前に中古LP屋さんで見つけて購入しました。
 手持ちの詳細情報は、ジャケット裏の英語解説だけ。英語と格闘してようやくまとめました。
 
「新伝承派サウンド」(80年代にウイントン・マルサリスが復活させた、マイルス・クインテットサウンドをお手本とする演奏スタイル)がお好きな方は、十分に楽しめるアルバムだと思います。
 あとテナーの
レオン・ヘンダーソン(Leon Henderson)は、あのジョー・ヘンダーソンの弟です。
 ファイト一発!1曲目のドラムパターンを良く聴いていると、「Miles Smiles」の影響が大きいと思われます。
 また、名門レーベルの録音ということで気合が入ったのか、バラエティに富んだ全曲、書下ろしの新曲だそうでです。
 当時のブルーノートで、兼任プロデューサーをつとめていたピアニストのデューク・ピアソン(Duke Pearson)はデトロイトのDJ、ジャック・スプリンガー(Jack Springer)からこのバンドを紹介されたそうです。
 このバンドの演奏を聴いたピアソンは早速、現地デトロイトで録音を行ったそうです。
 おもしろいことにこのアルバム、ルディー・ヴァン・ゲルダー・スタジオで再録音されているんですね。
 手持ちのLPには
「VAN GELDER」の刻印が押されており、音はヴァン・ゲルダー・サウンドそのもの。結構良い音をしてます。
 1枚目を聴いた第一印象は、もろ60年代
「マイルス・デイヴィス・クインテット」のサウンド!
 特に、ダイナミックなドラムと、印象的なトランペットのフレーズを聴いていると、「皆さん、本当に好きなんだねー」と声を掛けたくなる位の傾倒ぶり。
 ちなみにマイルスのアルバムでテイストが近いものは、1966年10月録音の
「Miles Smiles / Miles Davis (Columbia CL 2601)」や、1966年06月録音の
「Nefertiti / Miles Davis (Columbia CS 9594) 」あたりでしょう。
 まずA面は、緊張感たっぷり、劇的な展開が魅力の「Mystique」、叙情感溢れる「You」、当時流行りのダンス・ビートにのせた軽快な曲「Trance Dance」、怪しい雰囲気を孕んだアップ・テンポの「Eclipse」と続きます。
 B面に行きますと複雑なテーマが印象的な「Number Four」、テーマ部からもろマイルス風のトランペットが炸裂するバラッドの「Diahnn」でアルバムは終了します。
 アルバムを2ヶ月近く集中して聴いて思うのは、「あと3年早く、このバンドが登場していればなあ・・・。」の一言に尽きます。
 3年前(1965年)にはあの名盤、「処女航海(BN84195)」が録音されています。
 オーネット・コールマンを中心としたフリーの嵐が吹き荒れ、ソウル・ミュージックや、よりポップで踊れるアルバムが求められていただろう時代に、あの「新伝承派風サウンド」では・・・・まあ玄人受けはしても、売れなかったでしょうね。
 時代の流れに乗れなかった「隠れ名盤」を、2007年にCDで手軽に聴けるようになったことを、素直に喜びたいと思います。
●Introducing Kenny Cox and The Contemporary Jazz Quintet
Blue Note/United Artists BST 84302
side one
01. Mystique (K.Cox) 04:40
02. You (D.Durrah) 05:25
03. Trance Dance (K.Cox) 06:00
04. Eclipse (L.Henderson) 05:47
side two
05. Number Four (C.Moore) 10:45
06. Diahnn (L.Henderson) 08:35
Charles Moore(tp) Leon Henderson(ts) Kenny Cox(p) Ron Brooks(b) Danny Spencer(ds)
 Recorded on December 9,1968 at United Sound System, Detroit,MI
Produced by Duke Pearson
Re-Recording by Rudy Van Gelder
●メンバー紹介(LP裏の解説より)●
 
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